朝、洗面台で顔を洗おうとして、少しかがんだ瞬間。
腰の奥に、突然イヤな痛みが走る。
体が固まって、上体を起こせない。
洗面台に手をついたまま、しばらく動けない。
ぎっくり腰になると、最初にこう思う人が多いです。
「今日はもう、絶対に動かないほうがいい」
でも、結論から言うと、ずっと寝たきりにする必要はありません。
痛みが強いときは休む。
少し動けるようになったら、無理のない範囲で日常の動作に戻していく。
初日は、このくらいで十分です。
今日は、
「ぎっくり腰になった初日に、何をするか」
「逆に、何をしないほうがいいか」
この2つを整理します。
なお、「ぎっくり腰」は正式な病名ではありません。
この記事では、突然起きた強い腰痛をまとめて、分かりやすく「ぎっくり腰」と呼びます。
「動かないほうがいい」は、半分だけ正解です
痛みが出た直後は、無理に動く必要はありません。
まずは、いちばん楽な姿勢を探してください。
横になったほうが楽なら、横になって構いません。
問題は、そのまま長時間ずっと寝続けることです。
急な腰痛では、長くベッドで安静にするより、できる範囲で普段の活動を続けるほうがよい、という研究があります。
なので、初日に目指すのは「運動」ではありません。
トイレに行く。
水を飲みに行く。
部屋の中を少し歩く。
寝返りを打つ。
痛みが許す範囲で、こうした小さな動きを残しておけば十分です。
逆に、痛みを我慢して無理に仕事を続ける必要もありません。
「動く」と「無理をする」は別です。
ここは混同しないでください。
初日に必要なのは、大がかりな体操ではありません
ぎっくり腰になると、
「何かストレッチをしたほうがいいですか?」
と聞かれることがあります。
ぼくなら、初日から無理に伸ばすことはおすすめしません。
痛みが強いうちは、体操のメニューをこなすより、
「楽にできる動きを少しずつ残す」
くらいに考えたほうがシンプルです。
寝返りができるなら寝返りをする。
立てるなら、少し立つ。
歩けるなら、数歩歩く。
痛みが強くなる動作はやめる。
その日の体と相談しながら、できる範囲を探してください。
冷やすか、温めるか。
ここも迷いますよね。
温める方法は、急な腰痛の痛みをやわらげる選択肢のひとつです。
一方で、冷やしたほうが楽だという人もいます。
なので、家庭で試すなら、
「自分が楽になるほうを短時間使う」
くらいで考えてください。
温めるなら、低温やけどには注意してください。
冷やす場合も、保冷剤などを直接肌に当てないようにします。
そして、初日に痛みが強いなら、無理に湯船へ入らなくても大丈夫です。
意外とつらいのが、浴槽をまたぐ動作や、低い位置から立ち上がる動作です。
シャワーで済ませられるなら、それでも十分です。
痛み止めを使うなら、「何でもいい」ではありません
痛み止めに抵抗がある人もいます。
でも、痛みが強すぎてトイレにも行けない状態なら、薬を使って動きやすくするという考え方はあります。
ただし、
「市販薬なら何でも大丈夫」
とは言えません。
薬によって向いている人、避けたほうがいい人がいます。
持病がある。
胃腸や腎臓に問題がある。
妊娠中である。
ほかの薬を飲んでいる。
こうした場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に確認してください。
迷ったら、ドラッグストアで薬剤師さんに相談するのが早いです。
コルセットは「動くための補助」と考えます
コルセットを着けると、腰まわりが支えられて安心する人はいます。
ただ、
「コルセットを着ければ腰が治る」
というものではありません。
使うなら、
起き上がるとき。
家の中を移動するとき。
どうしても必要な外出をするとき。
こんな場面で補助的に使うくらいでいいと思います。
ずっと着け続けることを前提にする必要はありません。
初日は「痛みチェック大会」をしないでください
これは地味ですが、意外とやりがちです。
前に曲げる。
「あ、痛い」
もう一度曲げる。
「やっぱり痛い」
今度はひねる。
「こっちも痛い」
何度確認しても、初日はあまりいいことがありません。
痛みが強く出る動作が分かったら、その日は何度も再現しなくて大丈夫です。
また、痛みを我慢して強いストレッチをする必要もありません。
大掃除を始める必要もありません。
重い荷物を運ぶ必要もありません。
目標は、「治そうとして頑張ること」ではなく、「悪化させずに一日を過ごすこと」です。
こんな症状があるなら、「ただのぎっくり腰」と決めつけないでください
腰痛の多くは、時間とともに改善していきます。
ただし、例外があります。
特に、
・尿が出にくい、出せない
・尿や便を漏らしてしまう
・股の間、陰部、お尻の周辺の感覚がおかしい
・両脚に強いしびれや力の入りにくさが出ている
こうした症状がある場合は、早めの医療評価が必要です。
また、
・発熱がある
・大きく転倒した、事故に遭ったあとから痛い
・理由の分からない体重減少がある
・がんの治療歴がある
・痛みがどんどん強くなっている
といった場合も、自己判断で「ぎっくり腰」と決めず、医療機関に相談してください。
では、初日はどう過ごすのか
難しく考えなくて大丈夫です。
横向きが楽なら、横向きになる。
膝の間にクッションを入れると楽なら使う。
仰向けが楽なら、膝の下にクッションや丸めたタオルを入れてみる。
同じ姿勢がつらくなってきたら、できる範囲で姿勢を変える。
起きられそうなら、一度横向きになり、腕を使ってゆっくり起きる。
歩けそうなら、トイレや水分補給のついでに少し歩く。
しんどくなったら、また休む。
これくらいです。
「何歩歩かなければいけない」
「何分ごとに起きなければいけない」
と、数字で自分を追い込む必要はありません。
痛みの様子を見ながら、できることを少しずつやってください。
ぎっくり腰になると、「腰が壊れた」と感じます
あの痛みなので、そう思うのも無理はありません。
でも、腰痛の多くは時間とともに軽くなっていきます。
初日から何か特別なことをして、一気に治そうとしなくて大丈夫です。
休む。
でも、ずっと寝たきりにはしない。
動ける範囲だけ、少し動く。
異常な症状があれば、医療機関に相談する。
初日は、これで十分です。
※この記事は一般的な健康情報を紹介するもので、個別の診断や治療を目的としたものではありません。強い症状や神経症状がある場合、症状が悪化している場合、不安がある場合は医療機関にご相談ください。


「絶対に動いてはいけない」と一日中寝たきりになるのではなく、トイレや水分補給など痛みの許す範囲で小さな動作を残しておくという過ごし方にすごく納得しました。無理に運動をするのではなく、日常のちょっとした動きを止めないことが回復につながると分かり、急な痛みに見舞われたときの不安が軽くなります。