ぶつけていないのに足の甲が痛い。
歩くたびに、同じところが痛む。
でも、転んだわけでもないし、何かにぶつけた覚えもない。
すると、
「最近よく歩いたから、疲れているだけかな」
「少し休めば治るだろう」
と考えたくなります。
ただ、ここで知っておいてほしいことがあります。
骨折は、大きな事故が起きたときだけに起こるものではありません。
繰り返しの負担によって、少しずつ骨が傷んでいく「疲労骨折」というものがあります。
足の甲の痛みが続いているなら、「ぶつけていないから骨折ではない」と決めつけないことが大切です。
骨にも、休む時間が必要です
骨は、一度できたらそのまま変わらない物ではありません。
古い部分を入れ替えながら、日々かかる負担に対応しています。
ところが、負担から回復する前に、また次の負担がかかる。
これが繰り返されると、骨に小さな損傷が生じ、疲労骨折につながることがあります。
きっかけになるのは、激しい運動だけではありません。
しばらく休んでいた運動を急に再開した。
健康のために歩き始めた。
旅行で歩く距離が増えた。
仕事が変わり、立ったり歩いたりする時間が長くなった。
こうした生活の変化も関係します。
重要なのは、「一般的に見て運動量が多いか」ではありません。
自分のこれまでの生活と比べて、急に負担が増えていないかです。
「この程度で骨折するはずがない」
活動量だけを見て、そう判断しないようにしてください。
疲労骨折は、運動選手だけの問題ではありません
「疲労骨折」と聞くと、毎日走り込んでいる選手を想像する人もいると思います。
もちろんスポーツをしている人には起こります。
ただ、普段あまり運動していなかった人が、急に歩く量を増やした場合にも起こり得ます。
そのため、診察を受けるときには、スポーツ歴だけではなく生活の変化も伝えてください。
「部署が変わって、仕事中に歩く時間が増えました」
「健康のために歩き始めて、休日はさらに距離を伸ばしていました」
こうした情報が、痛みの原因を考える手掛かりになります。
また、骨の強さが低下している場合には、比較的小さな負担でも骨折が起こることがあります。
自分で「これは疲労骨折だ」と病名を決める必要はありません。
必要に応じて、骨の状態も含めて医療機関で確認してもらうことが大切です。
「歩くたびに同じ場所が痛い」は無視しないでください
疲労骨折では、体重をかけたときに痛みが強くなり、休むと楽になることがあります。
足が腫れたり、狭い範囲に痛みが集中したりする場合もあります。
ただし、この症状があるから疲労骨折だと決められるわけではありません。
腱や関節など、骨以外の原因でも足は痛くなります。
では、何を目安にすればいいのか。
同じ場所の痛みが繰り返す。
歩くたびに痛む。
腫れがある。
こうした状態なら、痛みを出す運動はいったん中断して、整形外科で相談してください。
自分で何度も強く押したり、片脚で跳んで痛みを確認したりする必要はありません。
「どこまでやったら痛いか」を試すために、さらに負担をかける必要もありません。
診察では、
いつから痛いのか。
どこが痛いのか。
歩くと痛いのか。
休むと楽になるのか。
その前に生活や運動量が変わったか。
これだけでも大切な情報になります。
「レントゲンで異常なし」でも、痛みが続くなら伝えてください
疲労骨折について知っておきたいのが、初期のレントゲンでは分かりにくいことがあるという点です。
そのため、
「レントゲンでは問題がないと言われたから、絶対に骨折ではない」
とは限りません。
症状や診察の結果によっては、時間を置いてもう一度評価したり、MRIなど別の検査を検討したりすることがあります。
もちろん、足が痛い人全員にMRIが必要という意味ではありません。
必要な検査は、痛む場所や症状、その後の経過によって変わります。
ここで患者さん側から伝えてほしいのは、「その後どうなったか」です。
「前より歩ける距離が短くなりました」
「休むと楽ですが、歩き始めるとまた同じ場所が痛みます」
「数日休んでも痛みが残っています」
最初の診察では分からなかった情報も、時間がたつことで見えてくることがあります。
痛みが続いているなら、その経過を改めて伝えてください。
休むなら、「運動」だけではなく生活全体で考えます
疲労骨折と診断された場合、まず必要になるのは傷んだ骨への負担を調整することです。
ただ「運動を休めばいい」というほど単純ではありません。
部位や重症度によっては、専用の靴や装具、松葉杖などが必要になることがあります。
場合によっては、手術が検討されることもあります。
診察では、
「運動は禁止ですか?」
だけで終わらせないほうが実生活では役立ちます。
「通勤では、どのくらい歩いて大丈夫ですか?」
「仕事中は立っていても大丈夫ですか?」
「自宅の階段は使ってもいいですか?」
「買い物はどうすればいいですか?」
このように、一日の生活に置き換えて聞いてみてください。
また、
「走れないなら自転車にしよう」
と、自分の判断で別の運動に置き換えるのも避けたほうが安全です。
負担が少なく見える運動でも、傷んでいる場所によっては適さないことがあります。
何をしてよいのかは、主治医に確認してください。
痛みが減っても、いきなり元の運動量には戻しません
休んで痛みが落ち着いてくると、今度は動きたくなります。
「もう痛くないから、元に戻して大丈夫そう」
そう考えやすいところです。
ただ、日常生活で少し歩けることと、長時間の運動に耐えられることは同じではありません。
運動を再開してよいと確認できたら、活動量は段階的に戻していきます。
時間を増やす。
回数を増やす。
速さを上げる。
全部を一度に変えるのではなく、何を増やしたのか分かるようにしておくと、その後の反応も確認しやすくなります。
仕事でも同じです。
いきなり以前と同じ勤務に戻すのではなく、短時間勤務や座ってできる作業を相談できる場合があります。
「1週間休んだから治ったはず」
というように、休んだ日数だけで判断しないことが大切です。
治り方を確認しながら戻していきます。
受診するときは「痛み」と「その前の変化」をセットで伝えてください
足の甲が痛くなったら、受診前に少しだけ振り返ってみてください。
痛みが始まったのはいつか。
どこが痛いのか。
歩くとどうなるか。
休むとどうなるか。
そして、痛みが始まる前に何が変わったか。
歩数を正確に覚えている必要はありません。
「以前より通勤で歩くようになりました」
「最近、練習する日が増えました」
「旅行で何日も歩き続けました」
それでも十分に役立つ情報です。
ぶつけた覚えがなくても、骨の確認が必要な痛みはあります。
特に、同じ場所が歩くたびに痛む、腫れている、痛みが続いている場合には、無理に運動を続けないでください。
また、急に強い痛みが出て足に体重をかけられない場合などは、受診を先延ばしにせず、速やかに医療機関で確認してもらいましょう。
「ぶつけていないから大丈夫」ではなく、「いつもと違う痛みが続いているから確認する」。
この考え方を覚えておくだけでも、無理を重ねるのを防ぎやすくなります。
足の痛みで、歩く予定や運動を変更した経験はありますか?
「病院に行くほどなのか迷った」「仕事をどうするか困った」など、実際に困った場面があれば、このメールへの返信で教えてください。
今後の記事づくりの参考にします。
※この記事は一般的な医療情報を提供するもので、個別の診断を行うものではありません。足に体重をかけてよいか、運動を再開してよいかなどは、診察した医療者の指示に従ってください。


「ぶつけたり転んだりしていないから骨折ではない」と決めつけて我慢してしまう盲点に、深く頷かされました。アスリートのような激しい練習だけでなく、通勤の歩行時間が増えたり旅行でたくさん歩いたりといった「これまでの自分と比べた急な負担の増加」でも疲労骨折が起きるという指摘に、とても納得がいきます。痛む場所だけでなく「痛くなる前に生活の何が変わったか」をセットで医師に伝えるという知恵は、痛みの原因を正しく見極めてもらうための確かな指針になると感じました。