立って仕事をすれば、腰痛は解決するのか?
結論から言うと、立つだけでは解決しません。
むしろ、立ちっぱなしに変えたことで、夕方になると腰が張る人もいます。
スタンディングデスクを買った。
午前中は立って仕事をするようにした。
これで腰が楽になると思ったのに、あまり変わらない。
むしろ別の場所が疲れる。
そんな経験はありませんか?
「座りすぎは腰によくない」
そう聞くと、座るのをやめればいいように感じます。
でも、身体はそこまで単純ではありません。
ぼくが大事だと思うのは、座るか立つかではありません。
同じ姿勢を続けすぎないことです。
座ると立つでは、腰の使い方が変わります
椅子に座ると、上半身の重さはお尻で受けます。
骨盤は後ろに倒れやすくなり、腰も丸まりやすくなります。
一方で、立っているときは足の裏で体重を支えます。
脚のつけ根がうまく伸びない人は、腰を反らせることでバランスを取ることがあります。
座ると丸まりやすい。
立つと反りやすい。
つまり、負担のかかり方が変わるんです。
座っているときに重かった腰が、立ち仕事に変えたら別の場所の張りとして出てくる。
そういうこともあります。
なので、立つか座るかは「腰への負担をゼロにする選択」ではありません。
負担のかかる場所を変える選択、と考えるほうが分かりやすいです。
本当に避けたいのは「固定」です
では、何を変えればいいのか。
答えはシンプルです。
姿勢そのものより、同じ姿勢を続ける時間を減らします。
少し丸まって座っていても、短時間なら問題にならないことがあります。
逆に、背すじを伸ばして立っていても、1時間ほとんど動かなければ、同じ場所に負担がかかり続けます。
ここは勘違いしやすいところです。
「良い姿勢をずっと守る」のが正解ではありません。
ぼくなら、「姿勢を変えられる状態を作る」と考えます。
30分くらい座ったら立つ。
立っていたら少し歩く。
左右に体重を移す。
水を取りに行く。
その程度でも、同じ場所への負担をいったん変えられます。
腰のために完璧な姿勢を作る必要はありません。
動ける環境を作るほうが現実的です。
座り方は、背中より先に「お尻の下」を見ます
座り方を直そうとすると、多くの人は背中を伸ばそうとします。
でも、その前に見たい場所があります。
お尻の下です。
座っている間、上半身の重さは座面を通してお尻にかかり続けます。
長時間座ったあとに、お尻の奥が重い。
太ももの裏までだるい。
そんな人は、座面や体重のかかり方を一度見直してみてもいいです。
座面が硬ければ、薄いクッションを使ってみる。
足の裏が床につく高さにする。
届かなければ足台を置く。
浅く腰かけ続けず、ときどき深く座る。
脚を組んだまま長時間固定しない。
脚を組むこと自体を悪者にする必要はありません。
問題になりやすいのは、同じ形のまま動かなくなることです。
ここでも結局、「固定しない」に戻ってきます。
意外と見落とすのが、椅子に座る瞬間です
もうひとつ見てほしいのが、椅子に腰を下ろす動作です。
疲れている日ほど、
ドスン。
と座っていませんか?
立ち上がる動作は気をつけるのに、座る瞬間はかなり雑になりがちです。
座るときは、脚やお尻の筋肉を使いながら身体をゆっくり下ろします。
勢いよく腰を下ろす癖があると、身体への負担につながることがあります。
やることは難しくありません。
上体を少し前に傾ける。
お尻を後ろに引く。
そして最後までゆっくり座る。
3秒くらいかければ十分です。
地味ですよね。
でも、椅子に座る動作は毎日何度も繰り返します。
こういう地味な部分を変えるほうが、案外続きます。
長距離運転で腰がつらい人にも、同じ考え方が使えます
デスクワークでは平気なのに、長距離運転だけ腰がつらい。
そんな人もいます。
車の運転は、姿勢を変えにくい環境です。
シートが遠すぎる。
背もたれが寝すぎている。
身体がシートに合っていない。
さらに、運転中は自由に立ち上がることもできません。
なので長時間になるほど、「固定」の影響が出やすくなります。
できる範囲でシート位置を調整する。
深く座る。
膝に少し余裕を持たせる。
そして長距離なら、適度に休憩して車から降りる。
ここでも特別なことをする必要はありません。
同じ姿勢を延々と続けない。
基本はこれです。
ただし、姿勢だけで考えないほうがいい痛みもあります
腰の張りや重さは、姿勢や活動量を変えることで楽になるケースもあります。
ただし、すべての腰痛を「座りすぎ」で説明することはできません。
脚のしびれや強い痛みが広がる。
脚に力が入りにくい。
急につまずきやすくなった。
排尿の異常がある。
お尻や股のまわりの感覚がおかしい。
発熱がある。
安静にしていても強く痛む。
理由が分からないのに体重が減っている。
こうした症状がある場合は、姿勢を自分で調整し続けるだけではなく、医療機関に相談してください。
また、痛みが強い場合や長く続く場合も同様です。
腰のために必要なのは「正しい姿勢」だけではありません
スタンディングデスクは悪くありません。
ぼくも、座りっぱなしを減らす選択肢としては良いと思います。
ただし、
「立っていれば腰にいい」
と考えると、また立ちっぱなしになります。
それでは結局、同じ問題を繰り返します。
座る。
立つ。
少し歩く。
左右に体重を移す。
また座る。
このくらいでいいんです。
腰のために一日中「良い姿勢」を頑張る必要はありません。
むしろ、姿勢の選択肢を増やしてください。
今日の話で一番伝えたいのは、ここです。
姿勢を良くするより、姿勢を変えられるようにする。
スタンディングデスクも、そのための道具として使うといいです。
そして、少し聞きたいです。
あなたの腰は、どんなときに一番つらくなりますか?
長く座ったあとですか?
立ち上がる瞬間ですか?
立ちっぱなしの夕方ですか?
それとも、長距離運転のあとですか?
もしよければ、このメールにそのまま返信してください。
回答が多かったものは、次の記事で取り上げます。
※この記事は一般的な健康情報を紹介するもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状が長く続く場合や、強い痛み、しびれなどがある場合は、医療機関にご相談ください。


「立つか座るか」ではなく「同じ姿勢を続けすぎて固定してしまうこと」こそが負担の原因だという説明にすごく納得しました。座れば丸まり、立てば反るという体への影響の違いを整理したうえで、立ちっぱなしも結局は別の場所を疲れさせてしまうという指摘は、スタンディングデスクを使っても腰が重かった人にとってとても分かりやすい気づきになりますね。